歯科技工士 戸矢 隆の人間の原型を探る2

人間 ヒトの原型として
二足直立があり 二足直立歩行がある

二足直立歩行であると
身体の最上位の重い頭部で
地球の自転と公転からのコリオリの力
下顎位をずらされると全身のバランスを
大きく失う

バランスを失ったアンバランスを補正するために
全身自ら全身を歪めさせて全身のバランスを保とうとする
二足で直立して歩いて走るためである

自ら歪めさせた部位には
凝り 痛み 痺れ 機能障害が発症する
全身はそれを百も承知で
全身のバランスのために
自ら全身を歪めさせて
立とうとしている

何故
そこまでして立とうとしたのか
そして
何故
今も立ち続けようとしているのか

それが分からなければ
人間ヒトの原型としての下顎位は
見えてこないだろう

およそ7000万年前に哺乳類の中から
最初の霊長類が生まれた
原猿類と呼ばれる
ツバイと云う猿と言うよりはネズミに似ているリスのような小動物が生まれる

四足で歩いてはいるが
手と足の分化は進んで
手は繊細さと目のしくみと脳の大きさが
既に他の哺乳類を凌駕している
歯牙も前歯 犬歯 小臼歯 大臼歯と
霊長類の特徴も見られる
長い間
私にとっては霊長類の始まりとして
馴染み深い存在であった

木に登り
果実を食べ
果実が発酵した果実酒を常飲していた
霊長類の初めから
お酒とは切っても切れない縁が
延々と続き
私に至るのである

しかし 
最近の研究でツバイは霊長目では無く
登木目と云うことになった

およそ5600万年前の化石に見られる
現在の霊長類に近い特徴を持つ動物を起源とする説と

およそ6590万年前の化石に見られる
プレシアダビウス目に属する
2種類のプルガトリウスが霊長類の始まりではないか
あるいはもっと古い化石があるのではないか
とする説がある

私か知りたいのは
ヒトは多くのリスクが予想されただろうに
何故立ったかである

霊長類の起源の年代はよいとして
とにかく霊長類は木に登り
指が5本になり
親指が他の4本の指と対向して
木の枝を握れるようになる

木から木へ飛び移るために
距離感を掴むために両目が前を向くようになる

やがて
姿が猿になってゆく


およそ4000万年前
霊長類の亜目として
類人亜目が霊長類から別れ出る
後ろ足立ちが出来
鉤爪から平爪になり
顔も人間に近づいて来る

およそ3000万年前
ヒト上科として区分される
尾のない猿が現れる
現存の猿で言うと
テナガザルなど

およそ1700万年前
ヒト科の大型猿が現れる
現存の猿で言うと
ゴリラ チンパンジー オランウータン
など

およそ500万年前
ヒト亜科と呼ばれるピテクス(サル)の
語尾がついた
大きな脳を持ち
楽々と直立二足歩行が出来る
猿人が現れる
アウストラロピテクス(南の猿)である
なかなか雑な命名である

およそ318万年前
の化石人類
アウストラロピテクス・アファレンシス
の女性の化石が
1974年11月24日
中東アフリカ・エチオピアで発見される
当時
ヒットしていたビートルズ
ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ
に因んて
ルーシーと命名された

ここで霊長類は
二足歩行も出来た猿人から
楽々と直立二足歩行が出来るようになった

ここである
何故霊長類ヒト亜科は立ったのか

立つことによって
両手が自由に使えるようになり
「道具」が使え 「道具」を発達させることが出来るようになった

「道具」により
生身の人間の肉体以上の力を手に入れることが出来る
武器 例えば槍等を持てば
生身の肉体では絶対に歯が立たない猛獣
にも立ち向かえるようになる

そして
直立することで大きな脳が入った
重い頭蓋骨と下顎の頭部を支えることが
出来るようになる
一寸千貫である

ただ
これは直立して出来たことであり
脳をデカくしようとして直立したわけではない
手だって
直立しなくても十二分に使える

何故直立したのか

三木成夫先生は
遠くを見ようとした
と言っている
遠くと言っても
2つ先の信号機の交差点のコンビニ
的な距離感ではない

空間的にも 時間的にも 遥か彼方
宇宙の果て 遠い祖先
面影を求める眼差し

あの山の向こうには
何があるのだろうか

ヒトはアフリカから
ユーラシア大陸を歩き
あの山の向こうには何があるのだろうか
ベーリング海を渡り
アメリカを歩き
パナマ海峡を渡り
南アメリカマゼラン海峡まで渡り
生まれた
アフリカは最南端の喜望峰まで
世界各地に広がった